2026年0月の記事一覧
近畿圏の倒産件数が急増中
2025年の全国企業倒産は1万300件で2年連続で倒産が1万件を超えました。
その中でも、近畿圏の状況は看過できない水準に達しています。
東京商工リサーチの最新データによると、2025年の倒産発生率(事業所数に対する倒産発生件数)は、全国平均0.19%に対して京都府は0.36%(1.9倍)、大阪府は0.32%(1.7倍)という状況です。
全体として大都市圏とその周辺で倒産発生率が高い傾向にはあるようですが、近畿圏は2府4県すべてがワースト10位内に入っていて、明らかにこの地方が際立っています。
なぜ、近畿圏で倒産が増えているのか。
そして、この荒波を乗り越えるために、どのような「財務の視点」を持つべきなのかを考えてみたいと思います。
1. なぜ近畿圏で倒産が増えているのか?
近畿圏における倒産増加の背景には、いくつかの複合的な要因があると思います。
① 「ゼロゼロ融資」の返済開始と過剰債務
これは近畿圏に限った話ではありませんが、コロナ禍で多くの企業が利用した実質無利子・無担保融資、いわゆる「ゼロゼロ融資」の返済が本格化しています。
売上がコロナ前まで戻りきっていない、あるいは利益率が改善しない中で返済が始まり、キャッシュフローが限界に達しているケースが目立ちます。
実際、弊社に問い合わせをいただく会社の多くがこの問題に直面していて、資金繰りが圧迫されていると実感します。
② コストプッシュ型のインフレと価格転嫁の遅れ
原材料費の高騰やエネルギー価格の上昇、そして人手不足に伴う人件費の増大など。これらの支出が増えている一方で、多くの中小企業では販売価格への転嫁が追いついていません。
近畿圏は製造業や卸売業が多く、下請け構造が根強い業界では、利益を削ってなんとか耐えているという現状があります。
③ 近畿圏特有の産業構造
特に大阪は中小零細企業が非常に多いのが特徴です。一度景気が冷え込むとドミノ倒しのように影響が広がりやすい側面があります。
また、歴史ある企業が多い分、デジタル化やビジネスモデルの転換に苦戦しているという構造的な課題もあるようです。
2. 財務改善のために今日からできる3つの対策
倒産を避けるには、早めに会社の現状を知り、対策を打つことです。
ステップ1:資金繰り表を「1ヶ月単位」から「1週間単位」「1日単位」へ
まずは現状を正確に把握することです。『勘定合って銭足らず』を防ぐため、日次・週次での現金の動きを可視化してください。
入力は少し大変になりますが、できれば日次で管理していくのがおすすめです。
そうすれば、月中の資金ショートの可能性を早めに正確に察知できます。
厳しい状況にある時こそ、細かい予測が、経営者の精神的な安定にも繋がります(これも資金繰り表の大事な役目です)。
ステップ2:金融機関との「対等な対話」を始める
銀行などの金融機関は、付き合い方次第で共に再建を目指すパートナーになり得ます。
返済ができなくなる前に、経営改善計画書を持って相談に行くことが重要です。
現状の課題と再建への道筋を数値で示すことで、リスケジュール(返済条件変更)や伴走支援を引き出しやすくなります。
ステップ3:不採算部門・商品の撤退も含めた見直し
「売上はあるのに利益が出ない」という状態が一番危険です。
粗利率や営業利益率を顧客別・商品別に算出してみてください。
思っていたより利益が低いもしくは赤字だった、というように感覚と実際の数字との間に乖離があることも多いです。
会社を守るためには、赤字垂れ流しの事業を整理する決断も必要です。
近畿圏の倒産増加という現実は、確かに厳しいですが、見方を変えれば「これまでのやり方を見直すタイミング」であるとも言えます。
財務は過去の結果を記録するものではなく、会社の未来を描くための『羅針盤』です。
倒産の波に飲み込まれる前に、自社の財務状況を正確に把握して盤石な経営基盤を築くための道筋を検討し、計画として落とし込むことが重要です。
− 大村剛史


