通帳が増えるほど、お金の流れは見えなくなる。口座は3つに絞り、資金繰り表は1つに

こんにちは。コンサルタントの松本です。

「売上の入金、仕入れの支払い、借入の返済と、口座は用途ごとに使い分けている」

「月末になると、口座から口座へのお金の移動に追われる」

心当たりのある経営者の方は多いのではないでしょうか。

口座を使い分けること自体は、悪いことではありません。

ですが、通帳(口座)の数が増えるほど、会社全体のお金の流れは見えにくくなります。

今日は、通帳を整理し、1つの資金繰り表で全体を見る体制の大切さを解説します。

本業は黒字なのに、預金が減り続けていた会社の事例もご紹介します。

通帳が増えるほど、お金の流れは見えなくなる

売上の入金はA銀行、カード売上の入金はB銀行、仕入れの支払いはC銀行、給与の振込はD銀行、借入の返済はE銀行とF銀行。

このように口座が散らばると、次のようなことが起こります。

・会社全体で今いくらあるのか、すぐに答えられない

・どの口座が、いつ足りなくなるのか分からない

・口座間の資金移動を忘れ、引落しの日に残高が不足する

特に怖いのは3つ目です。

会社全体ではお金があっても、1つの口座で引落しができなければ、取引先や金融機関からの信用を落としてしまいます。

まずは、通帳を3つに整理する

最初にやるべきことは、口座の数を絞ることです。

目安は、3つ以内です。それぞれの役割は、次のように分けます。

・入金用の口座:売上やカード売上の入金を、すべてここに集める

・支払い用の口座:仕入れ、経費、給与の支払いをここから行う

・返済用の口座:借入の返済の引落しを、ここにまとめる

入金用の口座から、支払い用と返済用の口座へは、月に1〜2回、決まった日にまとめてお金を移します。

移す日を決めておけば、移し忘れて引落しの日に残高が足りなくなる、ということも防げます。

口座が少なければ、口座間のお金の移動そのものが減ります。

どこで何が出入りするのかも、一目で分かるようになります。

使っていない口座は、整理してまとめます。

ただし、借入のある銀行の口座は、返済のために残さなければならない場合もあります。

その場合も、日々のお金の出入りは3つ以内の口座に集め、残りの口座はなるべく動かさないようにします。

どの口座が何のためにあるのかは、社長の頭の中だけにしまっておかず、社内で説明できるようにしておくことも大切です。

関連記事:会社のお金の流れを誰が説明できますか? 

1つの資金繰り表で、全体の流れを見る

口座を整理したら、すべての口座と手元の現金を、1つの資金繰り表にまとめます。

日ごとの資金繰り表(日繰り表)にすると、お金が出ていく日や、支払いが重なる時期が見えてきます。

月末の残高だけでは分からない、「月の途中で一番お金が少なくなる日」も分かります。

その日を基準に、支払いの時期をずらしたり、早めに銀行へ相談したりと、先回りして手を打てるようになります。

早めに手を打つことの大切さは、こちらの記事でもお伝えしています。

関連記事:資金繰り不安への最も有効な対処法 

この表は、できれば社長自身が入力してください。

自分の手で入力すると、お金の動きが感覚で分かるようになります。

まずは、会社のお金の動きを1枚の表にまとめてみませんか?

弊社では、資金繰り表のExcelファイルを、無料で差し上げています。

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事例:本業は黒字なのに、預金が減り続けていた会社

私が担当したあるクライアントには、複数の口座と手元の現金がありました。

本業の収支は黒字でしたが、預金は減り続けていました。

全部を1つの表にまとめると、残高を押し下げていた原因が見えてきました。

借入の返済、社長個人の生活費として引き出していたお金、そして通帳を通らない現金での支払いです。

通帳を1冊ずつ見ていたのでは、気づけなかったことです。

特に、社長個人の生活費として引き出したお金は、決算書では「役員貸付金」となり、金融機関からの評価を下げる原因にもなります。

利益が出ているのに手元のお金が減ることは、売上が伸びている時期にも起こります。

関連記事:事業拡大期に潜む資金繰りの罠 

今日からできること

まずは、すべての通帳と手元の現金の記録を、机の上に並べてみてください。

そして、口座ごとに「何のための口座か」を書き出します。

そのうえで、入金用・支払い用・返済用の3つにまとめるとしたら、どの口座を残すかを決めてみてください。

「口座が多すぎて、どこから手をつければよいか分からない」

「資金繰り表を作っても、続けられるか不安だ」

もしそのようにお感じでしたら、ぜひ一度ご相談ください。

金融機関の視点と、経営の伴走者としての視点。その両方から、私たちは全力でサポートいたします。

一緒に、会社の未来を考えていきましょう。

- 松本 宰

【筆者紹介】
松本 宰(アセントリード株式会社 財務コンサルタント)
奈良県出身。大学卒業後、地元の金融機関に入り、営業職として預金や融資の提案を担当。若手ながら100件以上の融資案件に関わり、年間の融資契約件数で上位5位に入る。一方で、返済に苦しむ企業を銀行員の立場では根本から支えきれないことに悩み、数字に基づく伴走支援に専念するため、アセントリードに入社。金融機関の実務で培った資金調達の視点を生かし、中小企業の財務改善・資金繰りの支援に取り組んでいる。
コンサルタント紹介

「個人保証は借りる以上仕方ない」と思っていませんか?

こんにちは。コンサルタントの松本です。

経営者の皆様とお話ししていると、融資の話の中で必ずといっていいほど出てくるのが「個人保証」の話です。

「借りる以上、個人保証は付くものだ」
「家族に迷惑をかけたくないが、仕方がない」

そのように考えて、諦めている方は多いのではないでしょうか。
今日は、個人保証について解説します。

「個人保証は仕方ない」は、本当でしょうか?

個人保証とは、会社が返済できなくなった時に、社長個人が代わりに返済する約束のことです。

会社の借入なのに、社長個人の財産やご家族の生活まで影響を受ける可能性があるため、不安を感じるのは当然です。

ただ、結論からお伝えすると、個人保証は必ず付けなければならないものではありません。

一定の条件を満たせば、保証なしで融資を受けられる道があります。

銀行は、なぜ個人保証を求めるのでしょうか?

金融機関が個人保証を求める主な理由は、2つあります。

 

・会社と社長の財布が、実質的に一体に見えること

・会社の信用力を補いたいこと

 

イメージとしては、賃貸の部屋を借りる時の「連帯保証人」に近いものです。

貸す側は、「いざという時に、誰が責任を取ってくれるのか」を確認しておきたいのです。

「保証を外す」という選択肢を、知っていますか?

私が金融機関に勤めていた頃、このような企業を担当していました。

その会社は、複数の金融機関と長年取引があり、安定した関係を続けていました。

私の勤務先はメインバンクではなく、少額の融資取引があるだけでした。

代表者は高齢で、もともと口数が少なく、事業への考えや今後の展望について本音で話してもらうまでには、時間がかかりました。

ある時、事業のための借入が必要な状況になりましたが、代表者は保証人になることを、強く嫌がっていました。

理由は、「自分に何かあった時、事業に関わっていない親族に返済の義務が及んでしまうかもしれない」という不安でした。

そこで私が提案したのが、「事業者選択型経営者保証非提供制度」です。

信用保証協会の制度で、一定の要件を満たしたうえで、保証料の上乗せを負担することで、経営者の個人保証を付けないことを選べます。

実際に申込みを行い、大きな金額の融資を受けることができました。

社長にとっては、融資を受けること以上に、「家族に返済の義務が及ぶ心配が減ったこと」が大きな安心だったでしょう。

関連記事:会社のお金の流れを誰が説明できますか?

銀行は、どこを見て「保証なし」を判断するのでしょうか?

この制度の主な要件は、次のとおりです。

 

・過去2年間、決算書などを金融機関の求めに応じて提出していること

・直近の決算で、代表者への貸付金などがなく、代表者への役員報酬や配当なども常識的な範囲に収まっていること

・直近の決算で債務超過ではない、または直近2期の決算で減価償却前経常利益が連続して赤字ではないこと

・上の2つの状態を、今後も続けることを約束する書面を提出すること

 

簡単に言えば、次の3つの質問に答えられるかどうかです。

・会社と社長のお金は、きちんと分かれていますか?

・財務は、安定していますか?

・数字を隠さず、見せていますか?

 

この制度を使うと、通常の保証料に上乗せ分がかかります。

・「債務超過でない」と「2期連続の赤字でない」の両方を満たす場合は、0.25%

・どちらか一方だけの場合は、0.45%

元になる保証料率は、信用保証協会が会社ごとに決めます。

保証を外す安心を得るための費用、という位置づけです。

なお、要件を満たしていれば必ず保証を外せるというわけではなく、最終的には金融機関と信用保証協会の審査で決まります。

私の経験上、保証協会の制度を使った保証の解除は、要件を満たしていれば比較的進めやすいです。

一方で、保証協会を付けない「プロパー融資」で保証なしを認めてもらうのは、今でもハードルが高いのが実情です。

だからこそ、まずは保証協会の制度を知っておくことが大切です。

関連記事:信用保証協会に情報が正しく伝わっていますか?

今日からできる、「保証なし」に近づく準備

難しいことは必要ありません。
次の3つから始めてください。

・会社と個人のお金のやり取りを整理する(代表者への貸付金や、仮払金・未収入金、役員報酬の水準など)
・決算書や試算表を、銀行へ自分から出す
・担当者に、「保証を外せる制度はありませんか?」と聞いてみる

 

最初は、「聞いてみる」だけで十分です。

聞かなければ、制度があることすら知らないまま、保証が付き続けてしまうことがあるからです。

関連記事:通帳が増えるほど、お金の流れは見えなくなる。口座は3つに絞り、資金繰り表は1つに

 

銀行に見せる数字づくりは、資金繰り表から始めてみませんか?
弊社では、資金繰り表のExcelファイルを、無料で差し上げています。
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資金調達や金融機関とのお付き合いを、財務の面から見直したい方は、「財務力向上コンサルティング」をご覧ください。

個人保証の不安を、一人で抱えていませんか?

個人保証は、社長ご自身だけでなく、ご家族の安心にも関わる大切な問題です。

それなのに、「どうせ外せないから」と、誰にも相談できずにいる方も多いのではないでしょうか。

「今の自社が、保証を外せる条件に合っているのか知りたい」

「銀行に、どう切り出せばよいか分からない」

もしそのようにお感じでしたら、ぜひ一度ご相談ください。

金融機関の視点と、経営の伴走者としての視点。その両方から、私たちは全力でサポートいたします。

一緒に、会社の未来を考えていきましょう。

 

- 松本 宰

 

 

【筆者紹介】
松本 宰(アセントリード株式会社 財務コンサルタント)
奈良県出身。大学卒業後、地元の金融機関に入り、営業職として預金や融資の提案を担当。若手ながら100件以上の融資案件に関わり、年間の融資契約件数で上位5位に入る。一方で、返済に苦しむ企業を銀行員の立場では根本から支えきれないことに悩み、数字に基づく伴走支援に専念するため、アセントリードに入社。金融機関の実務で培った資金調達の視点を生かし、中小企業の財務改善・資金繰りの支援に取り組んでいる。
コンサルタント紹介

会社のお金の流れを誰が説明できますか?

こんにちは。コンサルタントの松本です。

最近では、後継者がいないことをきっかけに、事業をたたんでしまう会社が増えているというニュースを聞くことが増えました。

このようなニュースを聞くと、「事業を継ぐ人がいない」という話をイメージされる方が多いと思います。
ですが、こうしたニュースを見るたびに、私は少し違う側面が気になります。
それは、社長に万が一のことがあった時、会社が動かなくなってしまうということです。

〇「社長が動けなくなったとき」のリスク

こうした倒産の背景には、代表者の方の急な病気やご逝去があるケースも少なくないと言われています。
業績が悪いから事業が続けられないというより、社長が動けなくなったことをきっかけに事業が止まってしまうということです。

特に規模の小さな会社ほど、判断も情報も社長一人に集まりやすいと感じます。
そうなると、立て直す時間もないまま、事業を閉じる選択に至ってしまうこともあるのではないでしょうか。

〇「社長の頭の中」にしかない情報はありませんか?

経営者の皆様は、日々の判断の中で数多くの情報を頭の中に持っておられます。
たとえば、次のようなものです。

・取引先ごとの支払条件や回収条件
・毎月の支払日と、資金が厳しい時の支払優先順位
・借入の返済予定と残高、返済用口座
・「あの件は○○さんに聞けば分かる」という人間関係

どれも、社長からすると当たり前のことだと思います。
ですが、社長がいない時にこれらを説明できる方は、社内に何名いらっしゃいますか?

〇金融機関で経験した「代表者交代」

私が金融機関で担当していた企業で、社長が逝去され、代表者交代の手続きを行った経験があります。

その企業では、以前から代表者の体調が優れない状態が続いていました。
口には出されなくても、その時が近いことは周りから見て明らかでした。
そのため、財務に関することは、ほとんど準備が済んでいました。

それでも、実際にその時が来ると、数日間は会社全体が止まりました。
準備をしていたおかげで、事業の停止を数日間に抑えることができたのだと思います。

この経験から、私が感じたことは2つあります。
・どれだけ準備をしていても、いざという時にスムーズに進めることは難しいこと
・準備をしていないと、大きな損害が発生する可能性があること

〇債権者の立場から見えていたこと

金融機関の担当者として、代表者の方が体調を崩され、返済が滞ってしまう場面にも遭遇したことがあります。
これは、とても大変なものでした。

個人情報や企業情報の保護の観点から、ご親族や従業員の方に、こちらから自由に声をかけることはできません。
一方で、返済が滞れば、会社の信用に影響します。

 緊急事態であることは理解できても、債権者の立場からすれば、お金が返ってこないという事実は変わらないからです。

つまり、社長に何かあった時に困るのは、ご家族や従業員の方だけではありません。お取引先や、お金を貸している側も同じです。
だからこそ、「誰が窓口になるのか」が決まっていることには、大きな意味があると思います。

〇今日からできる、社長の「もしも」への備え

難しいことは必要ありません。
次の4つから始めてみてください。

  1. 頭の中にある情報を、紙1枚に書き出す(支払条件、支払日、返済予定、返済用口座、連絡先など)
  2. 後継者、または右腕となる方を決める
  3. その方に、書き出した内容を共有する
  4. 年に1回、見直す

 

「うちは後継者が決まっていないから」とお感じの方も、まずは右腕となる方からで構いません。
承継の形は、親族、社内、第三者など様々です。
どの道を選ぶとしても、会社の数字や取引条件が整理されていれば、話は進めやすくなります。

この準備は、社長ご自身のためだけのものではありません。
ご家族や従業員の方、日頃お付き合いのある取引先、そして金融機関にとっても、大きな安心材料になります。


「元気な今だからこそ」整えておく。
それこそが、会社を守る一番の備えなのではないでしょうか。

もし、何から手をつければよいか分からない、どのように整理すればよいか迷われているようでしたら、ぜひ一度私たちにご相談ください。


社長の頭の中にある「会社のお金の流れ」を一緒に確認し、もしもの時にも揺るがない体制づくりを、最後まで伴走してサポートいたします。



入社1年で見えてきた、「数字」の向こう側にあるもの

こんにちは。コンサルタントの松本です。
おかげさまで、先月で入社してから1年が経ちました。
今日は少し立ち止まって、この1年の歩みを振り返ってみたいと思います。

〇この1年で「変わったこと」

一番の変化は、「ご支援できる幅」が広がったことです。

金融機関に勤めていた頃も、お客様とは普段から良好な関係を築かせていただいていました。
ただ、返済ができなくなった時には、どうしても「貸し手」と「借り手」という立場になります。
資金繰りが厳しくなると、何かお手伝いできないかと考えるものの、立場上できることには限りがありました。
そのもどかしさは、当時から感じていたことです。

今の立場では、お客様と同じ側に立ち、同じ数字を見ながら、「どうすれば乗り越えられるか」だけを考えることができます。

そしてもう一つ、長期的な視点で伴走支援できるようになったことも大きな変化です。
計画を立てて終わりではなく、その先の実行と見直しまで、腰を据えて深く関わることができます。

その要因の一つが、人事異動がないことだと感じています。
前職では、「いつかは異動で離れてしまう」という気持ちが、心のどこかにありました。
今は、その心配なく、お客様の数年先を見据えた支援に向き合えています。

〇この1年で「変わらなかったこと」

一方で、変わらなかったこともあります。

それは、「信頼」は仕事の土台だという考え方です。

私は、素晴らしい仕事は信頼の上に成り立つと考えています。

前職でも、融資や投資・保険商品をご提案する前に、まずは信頼していただくことに努めていました。
信頼をしていただけていれば、その後のご提案も、良好な関係づくりも、驚くほどスムーズに進みます。

この考え方は、コンサルタントになった今も変わりません。
むしろ、経営の深い部分に踏み込む仕事だからこそ、信頼の重みはより大きくなったと感じています。

〇「松本さんだから」という言葉

この1年で最も印象に残っているのは、お客様から「松本さんだから」と言っていただけたことです。

金融機関を退職する際、私が一番不安だったのは、「看板」がなくなることでした。
「金融機関の人間」と聞くと、多くの方が「真面目、きっちりしている、勉強してきた、信用できる」という印象を持ってくださいます。

しかし、その看板を外せば、今度は私自身を評価していただき、信用していただかなければなりません。
その不安は、正直に言ってとても大きなものでした。

そんな中で、一から関係を築き、信用していただけたこと。
一人の人間として、この上ない幸せを感じました。
この言葉に恥じないよう、これからも誠実に向き合っていきたいと思います。

入社から1年が経っても、学ぶことは尽きません。
だからこそ、仕事を通じた「出会い」を大切に、これからも歩んでいきたいと思います。

 

もし今、資金繰りや金融機関との付き合い方について、「誰に相談していいか分からない」と一人で悩んでいらっしゃるなら、ぜひ一度ご相談ください。


まずはお話を聞かせていただくだけでも、状況が整理され、次の一手が見えてくることがあります。
金融機関の視点と、経営の伴走者としての視点。その両方から、私たちは全力でサポートいたします。


一緒に会社の未来を考えていきましょう。



事業拡大期に潜む資金繰りの罠

こんにちは。コンサルタントの松本です。

「事業を成長させて売上を大きくすれば、資金繰りも自然と楽になるはずだ」

会社の舵取りを担う経営者の方であれば、一度はこのように考えたことがあるのではないでしょうか。

自社の商品やサービスが世の中に受け入れられ、売上が右肩上がりに伸びていく時期は、経営者にとって何事にも代えがたい喜びを感じられる瞬間です。

しかし、実はこの「事業が急成長しているタイミング」にこそ、会社を揺るがす危険な落とし穴が潜んでいます。

日頃、経営者の方々と面談を重ねる中で、よく耳にする切実なご相談があります。

「売上は過去最高で、試算表を見ても利益はしっかり出ているんです。なのに、なぜか通帳の預金残高が増えるどころか減っていて……。以前より資金繰りが苦しく感じるのは一体なぜなんでしょうか?」

 

「利益は出ているのに、手元にお金がない」

これこそが、多くの成長企業を悩ませる最大の罠です。

 

今回はこの現象の背景と、会社を守りながら成長を続けるための財務の視点について考えてみたいと思います。

 

なぜ売上が増えると、手元のキャッシュが減るのか?

なぜ、業績が良いはずの会社で手元資金が枯渇してしまうのか??

 その最大の原因は、ビジネスにおける「仕入れ・支払いの先行」と「売掛金回収のタイムラグ」にあります。

売上を大きく伸ばすためには、事前の準備が欠かせません。 

商品を仕入れる必要があれば仕入代金が出ていきますし、案件をこなすために人員を採用すれば人件費が増加します。

外注費や広告費もかさむでしょう。 

このように、売上をつくるためには「先に出ていくお金」が必ず発生します。

それに対して、必死になって獲得した売上代金が自社の口座に入金されるのは、1ヶ月後、あるいは2ヶ月後先になることが一般的です。

事業が急拡大している時期は、この「後から入ってくるお金」よりも「先に出ていくお金」のボリュームが急激に膨らみます。その結果、利益が出ているにもかかわらず、手元のキャッシュが急速に吸い取られてしまうのです。

この一時的に不足する運転資金のことを、財務の世界では「増加運転資金」と呼びます。 事前の準備がないままこの状態に突入してしまうと、帳簿上は黒字のまま資金が尽きる、いわゆる「黒字倒産」の危機に直面しかねません。

成長を止めないために:「資金繰り計画」というヘッドライトを持つ

私たちはこれまで、数多くの企業で「利益とキャッシュのズレ」に悩む経営者を見てきました。 

売上を伸ばす力がある会社であるにもかかわらず、キャッシュの一時的な不足によってブレーキを踏まざるを得なくなったり、最悪の場合は立ち行かなくなってしまうのは、本当にもったいないことです。

では、この資金不足を乗り越え、安心してアクセルを踏み続けるためにはどうすればよいでしょうか。

その答えはとてもシンプルです。

「数か月先までのお金の出入りを予測する『資金繰り計画』をあらかじめ立てておくこと」に尽きます。

霧の中を手探りで車を走らせるのは誰だって怖いものです。 

しかし、資金繰り表という「ヘッドライト」があれば、「3ヶ月後に売上がここまで伸びたら、一時的に手元資金が〇〇万円不足する」という未来が数字で見えてきます。

事前に不足額とタイミングが把握できていれば、手遅れになる前に金融機関へ相談して、必要な融資(増加運転資金の調達)を受けることも可能です。

銀行側としても、根拠のある前向きな資金調達であれば、支援を検討してくれます。

最後に

「売上が増えれば、資金繰りは楽になる」という感覚的な直感は、財務の現場では通用しません。

というよりもむしろ、成長期こそ手元の数字をシビアにコントロールする姿勢が求められます。

もし今、「売上は伸びているのに資金繰りに追われている」「このまま拡大を続けて大丈夫だろうか」と一人で漠然とした不安を抱えていらっしゃるなら、ぜひ一度アセントリードにご相談ください。

目先の資金繰りに振り回されることなく、自信を持って次の一手を打てる財務体制を、私たちと一緒に作っていきましょう。



現場作業から「未来への舵取り」へ。社長が本来果たすべき役割と財務戦略

こんにちは。コンサルタントの松本です。

会社の成長に伴い、社長自身の「時間の使い方」や「経営者としての役割」について、日々悩みを抱えている経営者の方は少なくありません。

「現場の判断や重要業務は、結局自分が動くのが一番早くて確実んだよね。」

日々、多忙を極める経営者の方々とお話しする中で、非常に多く耳にする言葉です。

 

創業期は、社長自身の圧倒的な行動力や営業力に比例して事業が拡大していきます。

しかし、ある一定の売上に達すると成長が停滞し、今度はその水準を維持するためだけに、社長自身がずっと現場に入り続けざるを得なくなってしまう……

こうした壁にぶつかり、一人で抱え込んでしまう会社は本当に多いのです。

 

社長が一人でプレイヤーであり続けることへの不安

 

確かに、創業から会社を引っ張ってきた社長自身の営業力や技術、判断スピードのレベルは社内の誰よりも高いでしょう。

しかし、社長が自らプレイヤーとして現場に張り付き続けている限り、大切なメンバーの成長の機会を奪ってしまったり、「社長の限界 = 会社の限界」というジレンマに繋がってしまいます。

 

私はよく、会社の経営を「船の航海」に例えてお話しします。

 

船長の大切な仕事は、天候を読み、周囲の状況を把握し、乗組員みんなが安心して進めるよう航路を示し無事に目的地へ到達することです。

では、その船長がデッキに降り、乗組員と一緒に目先の現場作業に没頭していたらどうなるでしょうか。

確かに、船長の優秀な手腕によって目の前の作業は早く終わるかもしれません。

ですが、その間、船はどの方向に向かって進んでいるのでしょうか。

社長が現場作業につきっきりになっている状態というのは、まさに「船長が目の前の作業に追われてしまっている船」と同じ状態なのです。

 

「個人の力」から「みんなで支え合う組織」へのシフト

 

どれほど優秀な社長であっても、体は1つ、頭脳も1つです。

目先の作業をこなすことで一時的に売上を作ることができたとしても、社長が動けなくなった瞬間に船の進行が止まってしまう構造は、組織としても非常に心配な状態です。

 

今、必要なのは「社長が現場に張り付かなくても、メンバーが主体的に動き、みんなで支え合える仕組み」をつくることです。

 

社長個人の力で動かす経営から、仕組み化された「組織」で動かす経営へシフトすること。

それこそが、事業を安全に、そしてより大きく成長させるための近道です。

そして、現場を組織に任せる基盤を整えることで、社長には最も重要な仕事である「未来のための時間」が生まれます。

 

手に入れた時間で「未来の数字」を描く

 

現場を離れて手に入れた時間で、社長は何をするべきでしょうか。

それこそが、会社をさらに成長、安定させるための「財務戦略」を考えることです。

 

これからどの事業に投資し、どのように資金を配分するのか

数年後の目指すべき姿に対して、どのような資金計画を立てるのか

万が一の環境変化があっても耐えられる、強い財務体質をどう作るのか

 

これらは、日々の現場に追われている時には決してじっくり向き合うことができない、社長にしかできない「未来への舵取り」です。

 

まとめ:舵取りのパートナーとして

 

もし今、現場を任せる体制を模索している最中であったり、「手に入れた時間で、具体的にどんな財務計画を立てていくべきか」と一人で悩みを抱えていらっしゃるなら、ぜひ私たちに一度ご相談ください。

経営者の頭の中にあるぼんやりとした不安や将来の構想を、数字という具体的な「財務戦略」へと落とし込み、揺らがない経営基盤を共に創り出していきましょう。

社長が安心して舵を握れるよう、私たちは一番近くで支え続ける「伴走者」でありたいと思っています。



賃上げ時代を乗り切る中小企業の財務対策とは?

最近、クライアントの社長様とお話ししていると、
このような切実ともいえる悩みを伺う機会が本当に増えました。

「給与を上げたいけれど、これ以上人件費が増えると会社の利益が残らない……」
「求人を出しても全く応募が来ない」

 

あなたの会社ではどうでしょうか?

 

物価高騰や慢性的な人手不足が続くなか、賃上げの波が押し寄せています。
自社も対応しなければ採用や定着が難しい、と感じている経営者の方は多いと思います。

さらに毎年10月には最低賃金の引き上げがあり、近年はなかなかの引き上げ率です。
地味にこの影響を受けている企業も多いでしょう。

 

今回は、この「中小企業の人件費高騰」という大きな課題に対し、
精神論ではなく「財務の視点」からどのように立ち向かうべきか、、、
少し真面目に考えてみたいと思います。

 

なぜ「売上が上がっても人件費高騰で苦しい」のか?

人件費の上昇に頭を悩ませる背景には、単に「出ていくお金が増えた」ということ以上に、
「粗利と人件費のバランス崩れ」があります。

 

財務の現場ではよく「労働分配率」という言葉を使います。
簡単に言えば「会社が稼ぎ出した粗利(売上総利益)のうち、どれくらいを社員の人件費に還元しているか」を示す割合のことです。

 

売上がそこそこ伸びていても、原材料費の値上がりや値引きによって粗利が削られていれば、
上がった人件費を吸収しきれません。

その結果、営業利益が一気に圧迫されることになり、
「売上が伸びて忙しいのに手元にお金が残らない」という状態に陥ってしまいます。

 

どうでしょうか?
あなたの会社は大丈夫でしょうか?

 

中小企業が人件費高騰を乗り切るための「財務対策」3つのアプローチ

この状態に対抗するには、どうすればよいのか?
悩ましいところですが、財務の観点からできるアプローチを3つ整理してみます。

 

1. 「粗利(売上総利益)」の確保に徹底的にこだわる

人件費を支える原資は、売上ではなく「粗利」です。

人件費が10%上がるのであれば、それをカバーできるだけの粗利をどう生み出すかを考えます。

安易な値引きをやめて「適正価格」への見直し交渉を行うこと、
不採算な取引や商品を見直すことが、結果として社員の給与を守る一番の近道になります。

 

2. 「労働分配率」の適正ラインを自社で把握する

自社の労働分配率が現在何%なのか、過去の決算書や試算表から計算してみてください。

一般的に中小企業では50%〜60%前後が目安とされますが、業界やビジネスモデルによって適正値は異なります。

「自社にとって利益を確保しつつ社員に還元できる健全なライン」はどの程度なのかを把握しておくと、
昇給や採用を判断する時にピシッと答えを導き出すことができます。

 

3. 資金繰り表で「数ヶ月先の人件費インパクト」を可視化する

給料の引き上げや人員追加は、一度実行すると簡単には下げられません。

固定費の中でも見直し困難な費用増加になります。

「賃上げをした場合、半年後・1年後の現預金残高はどう推移するのか?」を
資金繰り表の上で事前に「必ず」シミュレーションしておきましょう。

先々のキャッシュの動きが数値で見えていれば、根拠を持った意思決定ができますし、
経営者にとって精神的な安心感にも繋がります。

 

人件費は単なる「コスト」ではなく「未来への投資」

人件費を削ることばかりに意識が向いてしまうと、社内の雰囲気は暗くなり、
優秀な社員から離職していくリスクが高まります。

人件費を単なる「コスト」と捉えると会社は衰退に向かいます。

人件費は「社員が安心して力を発揮し、さらに大きな付加価値を生み出すための投資」だと捉えるべきです。

 

そのためには、経営者自身が自社の数字を正しく把握し、
将来に向けた明確な資金計画を描いておく必要があります。

 

人件費高騰という課題は、一見すると大きなリスクに見えますが、
見方を変えれば「自社のビジネスモデルや価格設定、財務構造を見直す絶好の機会」でもあります。

 

というわけで、まずは自社の数字をじっくり眺めることからはじめてみてください。

数字を味方につけて、強い会社をつくっていきましょう。

 

 

「自社の労働分配率は適正なのだろうか?」
「賃上げをしたいけれど、資金繰りにどんな影響が出るか不安だ」

もしそのようにお感じでしたら、アセントリードにご相談ください。

現状の数字をわかりやすく整理し、貴社が自信を持って未来へ進めるよう、サポートいたします。

 

− 大村剛史

「飲食料品の消費税減税案」から考える。「税率」に振り回されない財務システムの作り方

こんにちは。コンサルタントの松本です。

最近、ニュースやビジネスの場で連日話題に上ってくるのが「飲食料品の消費税減税」をめぐる議論です。

「減税になればお客様の消費が刺激され、売上が伸びるのではないか」「税負担が減って資金繰りが楽になるのではないか」と、期待を寄せる経営者の方も多いのではないでしょうか。

政治やマクロ経済の場では「生活者支援」や「消費の活性化」という文脈で語られますが、私たちコンサルタントの見方は少し異なります。

経営者の皆さまにとって、こうした特定分野の減税議論は単なる「朗報」ではなく、大切な自社の収益構造や価格設定、そして周囲との関係性が試される重要な局面だからです。

帳簿上の計算だけを見れば、減税されれば納める税金が減り、手元にキャッシュが残りやすくなるように思えるかもしれません。

しかし、現実の世界を考えてみると、良いことばかりではありません。

 

・ 取引先やお客様から「減税されたのだから、その分値下げしてほしい」と、関係性を揺るがすような圧力を受けるリスク。

・ 販売価格(売上側)の税率は下がっても、店舗の家賃や光熱費、設備投資などの経費負担(仕入・経費側)が減らないことによる、資金繰りの悪化

・ 値決めを誤ることで、売上の見かけの数値に反して「粗利益率」が削られ、結果的に手元キャッシュが減ってしまうリスク。

 

多くの経営者の方が直面するのは、単に税率が下がる喜びではなく、「安易な値下げ圧力によって、これまで築き上げてきた自社の利益構造が崩される危険性」です。

つまり、本質的な問題は「飲食料品の税率が何%になるか」ではありません。環境がどう変わろうとも、自社や働くスタッフの価値を守る「適切な価格決定力(値決め)」と、変化に柔軟に対応できる「キャッシュフロー管理の仕組み」があるかどうか、なのです。

制度や外部環境の変化を、一企業の力だけで止めることは困難です。

しかし、税制がどのように変わろうとも動じない財務システムを自社の中に作っておくことは、明確な計画によって可能です。

 

もし今、価格設定や資金繰りに悩み、「今後の環境の変化に耐えられるだろうか」と、一人で悩んでいらっしゃるなら、ぜひ一度私たちにご相談ください。

決算書の表面的な数字だけでなく、どのような時代が来ても揺るがない「未来の計画」を設計する伴走者として、私たちは全力でサポートいたします。一緒に、次のステージへの優しい突破口を見つけ出しましょう。


− 松本宰

社長の言葉から再認識した、弊社の存在意義

資金繰りや返済のことで一人悩みを抱え、何軒もの相談先に断られ続けたとき、経営者様が感じる孤独感や焦りは計り知れないものがあります。

 

先日、弊社に一件のお電話がありました。

お相手はある企業の社長様で、「運転資金の調達をしたい」というご相談でした。

同時に、金融機関への返済をリスケ(返済猶予)中であることから、他社では相談をことごとく断られてきたとお話しされていました。

 

一度はお断りしたお電話。それでも「折り返した」理由

最初、お電話口でざっくばらんに財務状況をお伺いした際、客観的に見て非常にシビアな状況だと感じました。

そのため、私も最初は「今の条件では、新たな資金調達ができる可能性はきわめて低いかもしれません」と正直にお伝えし、一度お電話を切らせていただいたのです。

しかし、電話を切った後、どうにも胸の中に引っかかるものがありました。

「表面上の条件や『リスケ中』という記号だけでお断りして、本当に良かったのだろうか……」
「もう少し詳しくお話を伺えば、資金調達という形ではなくても、資金繰りの改善や経営改善など、何か別の形でお力になれることがあるのではないか」

そう思い直し、私は自ら社長様に折り返しの電話を入れさせていただきました。

 

「数字」や「記号」だけでは見えない、事業の本質

後日、面談をさせていただいた際、社長はこう仰いました。

「リスケ中と伝えただけですぐに断られる中、力になろうとわざわざ折り返しのお電話をいただけたことが本当に嬉しかった。声のトーンや雰囲気から『この人には会っておいた方が良い』と直感したんです」

 

この言葉をいただいた時、私は弊社の存在意義を深く再認識させられました。

 

もちろん、財務コンサルタントとして数字を厳密に見ることは不可欠です。

しかし、どれほど厳しい財務状況であっても、表面的な数字や「リスケ中」という記号だけで判断してしまっては、経営者様の想いや事業の本当の強みを見落としてしまいます。

 

孤独な経営者に寄り添う「伴走者」として

経営改善の現場において大切なのは、表面的な数字の裏にある「経営者様の事業にかける情熱」や「現場の本当の実態」といった本質に踏み込み、共に突破口を模索することです。

資金調達そのものが難しいとしても、会社を守り、未来へつなぐための選択肢は必ず残されています。

それこそが、私たちが果たすべき「伴走者」としての役割であり、存在する本当の価値なのだと実感しました。

 

もし、他社で相談を断られ、「これ以上の継続は不可能かもしれない」と一人で孤独に悩んでいらっしゃるなら、ぜひ一度私たちにご相談ください。

ご相談は、以下のフォームからお問い合わせください。内容を確認して必ずこちらからご連絡致します。

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決算書の表面的な数字だけでなく、事業にかける情熱と実態に真摯に向き合う伴走者として、私たちは全力でサポートいたします。
一緒に、次のステージへの突破口を見つけ出しましょう。

 

− 松本宰

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このたび、ホームページをリニューアルいたしました。
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