2026年0月の記事一覧

「新米コンサルタントのつぶやき」

こんにちは、新人コンサルタントの松本です。

以前のコラムでも少しお話ししましたが、私は昨年まで地方の金融機関に勤めていました。

今回は、そんな前職での経験と、今のコンサルタントという仕事で感じた、ちょっとした視点の違いについて、お話しできればと思います。

 

この仕事を始めて特に心に響いた大きな違いは、キャッシュフローについての考え方です。

金融機関で営業マンとして働いていた時は、キャッシュフローといえば「利益 + 減価償却費」という、あくまで帳簿上の数字として捉えていました。

計算式上でプラスであれば、きっとその会社は安心なのだろうと、どこか画一的に考えていたんです。

 

ですが今では、当時の私がいかに現場のリアルな状況を深く理解できていなかったか、と少し恥ずかしい気持ちになります。

 

・売掛金の回収が数日でも遅れてしまう恐怖。

・在庫が積みあがって資金繰りが厳しくなる恐怖。

・税金の支払いで一気に預金が減る恐怖。

 

実際に経営の現場に入ってクライアントの社長様と打合せをしていく中で、計算式通りの預金なんて全く残らないという現実があることに気が付きました。

帳簿上は月末で締めることが多いので、売掛金の入金後に預金が多く計上されていることがよくあります。

でも実際は、「給与の支払いで一気に預金が減り、次の月末まで資金繰りに頭を悩ませる」といったご経験をお持ちの方も、少なくないのではないでしょうか。
前職のお客様がよく「資金繰りが厳しいねん。」と語っていた、その切実なお気持ちが、今では痛いほど理解できるようになりました。

 

現在は、決算書や試算表から客観的に分析する銀行員の視点に加え、お客様共に未来を考え、伴走するコンサルタントとしての視点

の視点から、より多角的に企業見できるようになりした

両方の視点を経験し、理解している私だからこそ、社長様の課題に寄り添い、一歩深く踏み込んだサポートをこれからもお届けしていきたいと考えています。

早期経営改善計画策定支援事業が大幅アップグレード

「経営が少し苦しくなってきたけれど、まだ銀行に相談するほどではないかな……」

そんなふうに、ひとりで悩みを抱え込んでいる経営者の方は少なくありません。

 

ですが、経営改善において最も大切なのは「適切なタイミング」です。

病気と同じように、重症化してから治療する(事業再生)よりも、ちょっとした違和感を覚えた段階で健康診断を受ける(早期改善)ほうが、コストも時間も圧倒的に少なくて済みます。

 

そんな「予防経営」を後押ししてくれる制度と言ってもいい「早期経営改善計画策定支援事業」が、2026年3月31日から大幅にアップグレードされました!

 

少し前のコラムで、この事業の利用者が急減しているという話題を取り上げましたが、中小企業庁としても「このままではいけない」と考えていたんですね。

私自身、この事業こそ中小企業にとって最も活用価値のある施策の一つだと思っていましたので、今回の見直しは純粋に嬉しいニュースです。

 

 

なぜ今、国は「増額」に踏み切ったのか?

今回のアップグレードで最も目を引くのは、補助上限額が大幅に引き上げられたことです。

なぜ、このタイミングで拡充されたのか?その意図はどこにあるのでしょうか?

 

一つは、せっかくの補助事業が十分に活用されていない現状から、より活用しやすい環境へ変えていきたいという意図があるでしょう。

ですが、それ以上にコロナ以降の環境変化があることは確かです。

ゼロゼロ融資の返済本格化、物価高騰、そして「金利のある世界」への突入。本当に色々と変わりすぎましたよね。

これまでと同じやり方では、利益が残りにくい構造に変わってしまったという、皆さんが直面している状況が背景としてあります。

国としては、「倒産が増えてから手を打つのでは遅すぎる。今のうちに、専門家と一緒に自社の数字をしっかり把握し、筋肉質な財務体質に作り変えてほしい」という、未来を見据えたサポートのメッセージを発信しているのだと私は解釈しました。

 

アップグレードされた3つの注目ポイント

今回の制度変更で、特に注目しているのは主に以下の3点です。

1. 補助上限額の引き上げで「深い」計画策定が可能に

補助上限が引き上げられたことで、これまで以上に時間をかけて、精度の高い計画を一緒に作ることが可能になりました。

単なる「数字の帳尻合わせ」ではなく、現状の徹底的な分析から、3年後、5年後のビジョンまでを具体化する「未来の羅針盤」を作る。そのための環境が整ったと言えます。

実は、私がこれまで携わった案件では全てのケースで原価割れでした。

計画作成にかけた時間に対して受け取れる補助金の額が少なすぎだったんです。

だからと言って適当に作ったのでは意味がないので社長からのヒアリング等にもかなりの時間を割いていました。

「この補助額では利用したくてもためらってしまうよね」というのが正直な気持ちだったんです。

そういった意味からも、補助上限額の引き上げは経営者と支援者の両方にとってメリットが大きいと言えると思います。

2. 「伴走支援」のさらなる強化

計画は「作って終わり」では意味がありません。

今回の拡充では、計画策定後のフォローアップ、つまり計画に対する進捗を確認して柔軟に軌道修正を行う伴走支援の重要性がより強調されています。

具体的にはこれまで年1回で2年間だったのが、年2回で3年間の支援が必要になりました。

支援する側にとっては負担が増えますが、経営者の立場から考えると、伴走支援の頻度が増えることで、作成した計画を常に意識しながら、変化に合わせて経営を進めていくことができる環境が整えられます。

伴走支援の拡充は私も「いいところを突いてきたな〜」と思いました。

3. 金融機関との「対話」の質を高める

補助金を使って専門家と計画を一緒に作ることは、銀行にとっても大きな安心材料になります。

「この社長は、外部の目を入れて自社の課題に真摯に向き合っている」とポジティブな見方をされるので、将来的な資金調達や条件交渉において、有利に働きます。

※ただし「早期経営改善計画策定支援事業」自体は、金融支援を前提としたものではありません。

 

早期経営改善計画策定支援事業は使うしかない!

私は15年以上、多くの現場を見てきましたが、「少しおかしいかな」という時に相談に来られる会社ほど、その後の成長スピードが早いです。

今回の制度拡充は、「どんぶり勘定では生き残れない」という国からの警鐘です。

まずは専門家と一緒に、自社の損益計算書(PL)だけでなく、貸借対照表(BS)やキャッシュフローの動きを客観的に見つめ直す機会をぜひ作ってください。

数字が見えると、不思議なほど「次にやるべきこと」が明確になりますし、経営者の漠然とした不安が小さくなります。自信も芽生えるはずです。

 

数字はあなたの夢を支える、心強い味方になる

財務は、決して経営者を縛るためのものではありません。むしろ、社長が思い描く「理想の未来」を実現するための強力な武器です。

「うちの会社でも使えるのか?」「具体的に何が変わるのか?」と少しでも気になった方は、ぜひアセントリードへお問い合わせください。

新しい制度を最大限に活用して、一緒に会社の未来を描いていきましょう。



「支払利息の急増」に立ち向かう財務戦略

もう1年以上前からになりますが「金利上昇」という言葉が一時期かなり話題になっていました。

 

つい先日、あるクライアントさんで決算確定前の12ヶ月分の試算表が揃った際、社長と一緒に数字を確認しながら、思わず二人で顔を見合わせてしまいました。

 

「支払利息、今までと比べても段違いに増えていますね……」

 

毎月予実績の確認をしているので増えていることは理解していましたが、改めて12ヶ月の数字を見ると、これまでの「当たり前」が通用しなくなった現実を思い知らされました。

 

わずか「1%」の重み

金利の上昇は、特に借入残高が多い中小企業にとって、想像以上に厳しい「逆風」となります。

財務指標の一つに「売上高支払利息率(売上高に対する支払利息の比率)」というものがあります。

中小企業は、売上高営業利益率(売上高に対する営業利益の比率)が全産業平均で3.3%(※中小企業実態基本調査令和6年度確報より)、会社によっては赤字という状況で必死に舵取りをされています。

そんな中で、この指標が1%を超えてくるとどうなるか。

「たった1%」と思うかもしれませんが、営業利益率2%の会社なら、「苦労して稼いだ利益の半分が、利息として消えていく」ことを意味します。

これまで以上に「利益が出にくい構造」へと変化しているということなんです。

「借りて投資」と「手持ちを活かす」

社長との話は、「今の借入水準はどう考えても多すぎる。一日でも早く返済を進められる体質になろう」という結論に至りました。

これまでは低金利でしたので、借入をして投資を行うことも比較的進めやすい時代でした。

しかし、これからは戦略を考える必要があります。

 

投資をするにしても借入金利以上の利益が見込めなければリスクを取ってまで投資をする意味がありません。

投資対効果の検討がより重要性を増します。

 

そしてもう一つは「今ある資産を、どれだけ効率よく売上に、さらに現預金に転換できるか」という視点です。

 

  • 倉庫に眠っている、現金化されていない在庫はないか?
  • 回収が数日遅れている、あるいは滞っている売掛金はないか?
  • 所有している設備や資産は、金利負担を上回る利益を生んでいるか?

 

資金調達や投資に対してこれまで以上にシビアな判断をし、まずは「筋肉質な財務体質」を作ること。

地味かもしれませんが、この「資産の効率化」こそが、金利上昇に負けない最強の防御策となります。

財務の見方も、これまでは損益計算書で利益だけ見ていればまずまずやっていけたかもしれませんが、これから(既にかなり前からですが)は貸借対照表もしっかり見る、両方を掛け合わせて見ることが必要です。

 

経営改善の「スピード」が、会社の寿命を決める

「少しでも早く業績を上げて利益体質にする。そして、借入の返済を一日でも早く進めていこう」

社長と話し合ったこの方針は、今のすべての中小企業に共通する課題です。

 

15年以上この仕事をしてきて痛感しているのは、「有事(実際に経営に支障が生じる状態)」に気付いてから動き出すのでは、遅すぎるということです。

「利息が去年より増えたな」とか「利益が出にくくなったな」と感じた瞬間は、まだ「経営に支障が生じるおそれ」の段階かもしれません。

しかし、その時こそが実は改善のチャンスです。

この段階なら、まだ選べる道が残っていますし、色んな手を打つことができます。

先日のコラムで書いたように国の補助金(早期経営改善計画策定支援事業など)を活用して、専門家と一緒に「未来の羅針盤」を作り直すことも可能です。

 

数字の先にある「安心」を創るために

金利上昇は、間違いなく経営のハードルを上げます。

しかし、帆の向きを変えれば、逆風の中でも船は進むことができます。

「数字を見る」ということは、決して自分を追い込むための作業ではありません。

むしろ、少し先を明るくして、安心してハンドルを握るための準備だと考えてください。

 

「うちの利息率は大丈夫だろうか?」

「借入を減らすために、まず何をすればいいのか?」 

というような不安がよぎったら、ぜひお問い合わせください。



初めての現場訪問で得た一生モノの学び

こんにちは。新人コンサルタントの松本です。

今日は、私が初めて新規のお客様を訪問させていただいた時のお話をさせていただきます。

 

私が何よりも嬉しかったのは、入社からわずか2週間という早さで、新規のお客様の元へ同行させてもらえたことでした。

机上の空論ではなく、実際にお困りのお客様を訪問し、その悩みを聞かせていただけること。

それこそが、事業再生コンサルタントとして最も重要な学びであると感じることができました。

 

初めての現場で得た学びは、大きく分けて2つありました。

・前職(金融機関)の経験が即戦力になること

・お客様の人生に寄り添う「責任」の重さ

 

初めての現場で私は、自分自身のこれまでの経験が大きな武器になることを実感しました。

前職である金融機関での経験を活かし、複雑な明細や契約書から借入状況を瞬時に把握することが出来ました。

「そんなこと、自分でも分かっていなかった。すごいね」と言われたときは素直に嬉しかったです。

自分の専門性が、目の前のお客様にとって役に立った瞬間は、コンサルタントとして大きなやりがいへと繋がりました。

 

そして、面談の進め方や細かな一つとっても、非常に多くの学びがありました。

コンサルタントとして、お客様の明るい未来をどう形作っていくべきか。

その責任の重さを感じる一方で、最後まで伴走できることへの大きな喜びを感じたことを覚えています。

 

事業再生の世界は奥が深く、学ぶべきことは尽きません。

これからも日々、数多くのことを吸収し、専門性を磨き続けていきたいと考えています。

そして、これから出会うお客様のために役立てていきたいです。

数字で未来を創る「早期経営改善」の真価

最近、気になるデータを目にしました。
それは、国が費用を補助してくれる「早期経営改善計画策定支援事業」の利用者が急減しているという事実です。

今回は、このデータが示唆するリスクと、私たちがこの事業を「今こそ活用すべき」と強く確信している理由をお話しします。

 

申請件数の急減――経営環境は「楽」になったのか?

最新の統計(2025年度上半期)によると、早期経営改善計画の利用申請件数は228件で前年同期(450件)に比べて半分近くまで減少しています。

 

早期経営改善計画策定支援推移※中小企業活性化全国本部資料

 

コロナ禍は遠い昔の話となり、一見すると「危機を脱した」ように感じるかもしれません。
しかし、現実はどうでしょうか。物価高騰、深刻な人手不足、ゼロゼロ融資の本格的な返済。経営環境はむしろ、よりシビアな局面に移行しています。

それにもかかわらず利用者が減っているのは、そもそも経営者の方に認知されていないという問題があると感じています。

 

銀行の担当者も実はよく知らない?「もったいない」現状

実は、この「早期経営改善計画策定支援事業」について、金融機関の担当者に話を持っていっても「あまり詳しく知らない」「ピンときていない」という反応が返ってくることが少なくありません。

確かに、この事業の制度上、金融機関が積極的に進める必要を感じないのも分かるのですが、もったいないなと感じます。

経営者が自発的にこの制度を活用して、専門家と共に作成した「根拠のある計画書」を銀行に持参する。
このような主体的な行動が、担当者に「この社長は自社の課題を正しく把握し、本気で経営を良くしようとしている」というインパクトと信頼を与えることになるのです。

 

「どんぶり経営・成り行き経営」から卒業する

中小零細企業の多くは、「どんぶり経営」や、その場の状況に任せる「成り行き経営」に陥りがちです。

「通帳の残高があるから大丈夫」

「売上が上がればなんとかなる」

そうした感覚に頼った経営は、平時は通用しても、急激な環境変化には対応できません。

一度立ち止まって自社の課題を明確にし、今後のあるべき姿を「数字」で示すことができるかどうかが、会社の成長を左右する分かれ道となります。

数字で示すことで変わる3つのこと

  • 意思決定に迷いがなくなる: 感覚ではなく、データに基づいた判断ができるようになります。
  • 従業員の動きが変わる: 目標が数値化されることで、組織全体に共通の物差しが生まれます。
  • 資金調達がスムーズになる: 根拠のある計画書は、追加融資や条件変更の際の最強の武器になります。

 

早期経営改善計画は「攻めのための健康診断」

この制度を分かりやすく例えるとすると、「会社の人間ドック」です。

体の調子が悪くなってから病院に行くのは「再生支援(治療)」ですが、調子が良い時、もしくは少し違和感がある時に受けるのが「早期改善(予防)」です。
この制度を活用すれば、専門家への相談費用の2/3(最大25万円)を国が補助してくれます。

 

早期経営改善計画策定支援事業を利用することで、経営者の頭の中にある「ぼんやりとした不安」からやるべき事が明確になり、具体的な行動へと変わっていく姿を何度も見てきました。

 

次の一歩を踏み出すために

経営環境が激変する今、立ち止まっていることは相対的な後退を意味します。

「うちはまだ大丈夫」という過信を捨て、数字に基づいた「攻めの経営」へ舵を切る。
やろうと思った時がそのタイミングです。

 

「何から手をつければいいか分からない」「うちは対象になるのか?」といった気になることがあればアセントリードにご相談ください。

会社の未来を明るくするのは、数字への理解と、経営者自身の「変わりたい」という決意です。



会社を守る財務戦略セミナー

今年から、オンラインだけでなくリアルでもセミナーを開催しています。

第一段として1月には福岡で開催しました。

引き続いて4月にセミナーを開催します。リアルです。花の都大東京です(古っ!)。

https://sub.ascentlead.co.jp/p/cVQ2H2HvQlEC

 

今回は、資金繰りがテーマではありますが、もう少し範囲を広く取って「財務戦略」セミナーとしました。

資金繰りをいかに回すか、安定させるか、という視点はもちろんのこととして、

それに加えて長期的な安定を見据えた「財務戦略」という視点からもお伝えしたいと考えています。

今回も、金融機関側から企業の見方や評価を踏まえて、会社としてはどうするべきかという点もお伝えします。

 

・借入金の返済が重く、キャッシュフローが苦しい

・資金繰り表の作り方や活用法がよくわからない

・銀行との交渉をスムーズに進めたい

・財務体質の強化とは具体的にどうすればいいのかわからない

 

このような方には特におすすめです。

 

日時 2026年4月17日(金)

場所 東京駅近辺

金額 3,000円

 

10名限定での少人数開催です。

興味をお持ちの方はお早めにお申し込みください。

 

詳細はこちらから

https://sub.ascentlead.co.jp/p/cVQ2H2HvQlEC

のどかな風景の裏で感じた責任の重さ

初めまして。新人コンサルタントの松本です。

私からは日々の業務で感じたことを皆様に共有出来ればと思います。

 

初日の研修を終えて、コンサルタントとして初めての企業訪問に向かった日のことです。

向かったのは、私にとって初めての経験となる県外への訪問です。

 

前職は地域密着型だったため、営業エリアは店舗から5km内の範囲に限られていました。

ですが、車窓から見えたのは、かつての職場を思い出させるような懐かしくのどかな田舎の風景でした。

お客様の雰囲気も前職時代訪問していた方々とよく似ていました。

 

ですが、対話が始まると車中でのリラックスした気分は一変しました。

 

そこで交わされたのは、金融機関で出来る一般的な経営に関する議論を超えた、「さらにその先」のお話でした。

経営者様が抱える課題の深さに触れ、自分の役割の重要性を改めて突きつけられた思いでした。

 

帰り道、夕暮れ時の穏やかな景色の中を進みながらも、私の心の中は決して穏やかではありませんでした。

 

「今日お会いしたお客様に対して、自分は一体どのような提案ができるのだろうか」。

その問いが、頭の中で何度も繰り返されていました。

 

目の前の風景の美しさに浸る余裕などないほど、一人のプロとして何ができるかを自問自答した一日。

この時に感じた焦燥感と責任感、自分の未熟さを忘れず、お客様の期待を超える提案を届けていきたいと強く決意しました。

近畿圏の倒産件数が急増中

2025年の全国企業倒産は1万300件で2年連続で倒産が1万件を超えました。

その中でも、近畿圏の状況は看過できない水準に達しています。

東京商工リサーチの最新データによると、2025年の倒産発生率(事業所数に対する倒産発生件数)は、全国平均0.19%に対して京都府は0.36%(1.9倍)、大阪府は0.32%(1.7倍)という状況です。

 

全体として大都市圏とその周辺で倒産発生率が高い傾向にはあるようですが、近畿圏は2府4県すべてがワースト10位内に入っていて、明らかにこの地方が際立っています。

 

なぜ、近畿圏で倒産が増えているのか。
そして、この荒波を乗り越えるために、どのような「財務の視点」を持つべきなのかを考えてみたいと思います。

 

 

1. なぜ近畿圏で倒産が増えているのか?

 

近畿圏における倒産増加の背景には、いくつかの複合的な要因があると思います。

 

① 「ゼロゼロ融資」の返済開始と過剰債務
これは近畿圏に限った話ではありませんが、コロナ禍で多くの企業が利用した実質無利子・無担保融資、いわゆる「ゼロゼロ融資」の返済が本格化しています。

売上がコロナ前まで戻りきっていない、あるいは利益率が改善しない中で返済が始まり、キャッシュフローが限界に達しているケースが目立ちます。

実際、弊社に問い合わせをいただく会社の多くがこの問題に直面していて、資金繰りが圧迫されていると実感します。

 

② コストプッシュ型のインフレと価格転嫁の遅れ

原材料費の高騰やエネルギー価格の上昇、そして人手不足に伴う人件費の増大など。これらの支出が増えている一方で、多くの中小企業では販売価格への転嫁が追いついていません。

近畿圏は製造業や卸売業が多く、下請け構造が根強い業界では、利益を削ってなんとか耐えているという現状があります。

 

③ 近畿圏特有の産業構造

特に大阪は中小零細企業が非常に多いのが特徴です。一度景気が冷え込むとドミノ倒しのように影響が広がりやすい側面があります。

また、歴史ある企業が多い分、デジタル化やビジネスモデルの転換に苦戦しているという構造的な課題もあるようです。

 

 

2. 財務改善のために今日からできる3つの対策

 

倒産を避けるには、早めに会社の現状を知り、対策を打つことです。

 

ステップ1:資金繰り表を「1ヶ月単位」から「1週間単位」「1日単位」へ

まずは現状を正確に把握することです。『勘定合って銭足らず』を防ぐため、日次・週次での現金の動きを可視化してください。

入力は少し大変になりますが、できれば日次で管理していくのがおすすめです。

そうすれば、月中の資金ショートの可能性を早めに正確に察知できます。

厳しい状況にある時こそ、細かい予測が、経営者の精神的な安定にも繋がります(これも資金繰り表の大事な役目です)。

 

ステップ2:金融機関との「対等な対話」を始める

銀行などの金融機関は、付き合い方次第で共に再建を目指すパートナーになり得ます。

返済ができなくなる前に、経営改善計画書を持って相談に行くことが重要です。

現状の課題と再建への道筋を数値で示すことで、リスケジュール(返済条件変更)や伴走支援を引き出しやすくなります。

 

ステップ3:不採算部門・商品の撤退も含めた見直し

「売上はあるのに利益が出ない」という状態が一番危険です。

粗利率や営業利益率を顧客別・商品別に算出してみてください。

思っていたより利益が低いもしくは赤字だった、というように感覚と実際の数字との間に乖離があることも多いです。

会社を守るためには、赤字垂れ流しの事業を整理する決断も必要です。

 

 

近畿圏の倒産増加という現実は、確かに厳しいですが、見方を変えれば「これまでのやり方を見直すタイミング」であるとも言えます。

 

財務は過去の結果を記録するものではなく、会社の未来を描くための『羅針盤』です。

倒産の波に飲み込まれる前に、自社の財務状況を正確に把握して盤石な経営基盤を築くための道筋を検討し、計画として落とし込むことが重要です。

 

− 大村剛史

社長のための銀行融資の見方・考え方

社長のための銀行融資の見方・考え方

多くの経営者が、資金調達そのものに追われ、自分がどのような条件で融資を受けているか十分に把握できていないのが現状です。

しかし、金融機関の担当者が持ってくる提案には、「あなたの会社がどう評価されているか」という本音が隠されています。
元銀行員が執筆した本レポートでは、金融機関側の視点から銀行融資の真実を包み隠さずお伝えします。