コラム

心と数字

クライアントの幹部会議でのこと。

 

この会社ではA部門とB部門の2つの部門で成り立っています。

かつてはA部門のみの会社だったのですが、その事業だけでは将来性が見通せないため、

5年ほど前から新たにB部門を立ち上げたのです。

 

B部門はA部門と比べて圧倒的に人数が少ない中で売上を伸ばし続け、

わずか5年でA部門の売上の60%程度にまで成長しました。

 

そんな状況の中、今回初めて部門別の損益データを開示したのです。

 

経費の内訳も部門別に分け、開示したデータそのものに疑義を挟む余地はありません。

そこでは、B部門の利益はごくわずかで、共通部門の経費を負担する余地はほとんどなかったのです。

 

これを見たB部門の責任者からは悲壮感が漂い、会議が終わるまでこの資料に釘付けとなっていました。

この責任者の頑張りは誰もが認めるところで、この数年間の奮闘ぶりは目を見張るものがあります。

私もそのことを理解していましたので、この資料を出すことを一瞬ためらいましたが、

社長の希望で開示したのです。

 

会議後、少し申し訳なかったなと思っていた私に、社長がこう仰ったのです。

「大村さん、やっぱり心と数字ですね。

 心の経営をしてきたから今回あれを出したんです。

 今ならあれを出しても大丈夫です。」

 

確かにその通りだと思いました。

 

B部門立上げの段階から社長は責任者と一緒になって進むべき方向を考え、

問題が起こればフォローし、B部門の目指す未来を語っていたのです。

そうした環境の中でこの責任者もみるみる成長していたのでした。

社長の思いがしっかり伝わり、会社の成長と自分自身の目標がリンクしたからこそ、

ここまでの頑張りがあったのです。

 

社長のこの姿勢はB部門に対してだけでなく、全社に対しても同様でした。

このような下地があったので、

数字データを開示しても反感を持たれることなく、

むしろこれをバネにさらに奮起することにつながっていくのです。

 

心と数字、感情と論理

 

両方のバランスで経営は成り立つということを改めて感じた出来事でした。

 

 

- 大村剛史

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