コラム

月次決算について その3

今回は、減価償却処理について。


会社を経営している方であればこの言葉自体はご存知だと思います。
会計に関する書籍などでも必ず出てくる言葉です。

要は、ほかの科目と比べて異質だということです。

 

減価償却費という科目は、広告宣伝費や旅費交通費などと同じように経費です。
普通、経費というものは費用が発生してお金が出ていくのですが、減価償却費はお金が出ていきません。形式的に費用として処理しているだけなのです。

 

これは、建物や車両などの固定資産について、利用可能期間に応じてその価値を減少させるための処理なのです。
建物や車両は購入後何年にもわたって使い続けることができます。それなのに購入した時に購入金額の全額を費用として計上するのはおかしいのではないか、ということです。
2年目も3年目もそれらを使って事業活動をしているのに、費用は購入時に一括処理し、後の期間はタダで利用するというのでは、得られる価値と処理する費用のバランスが合わないということです。
そのため、購入に要した金額を固定資産として計上しておいて、利用期間に応じて費用計上していく、というのが減価償却費を計上する意味です。

したがって、例えば減価償却費を50万円計上しとしても、出ていくお金は0円ということになります。

 

そして、経営管理上はこの減価償却費についていくつかの考え方があります。
1つは、減価償却費はその固定資産の価値を減少させる処理なので、減価償却費と同等の費用をかけて維持更新投資に使うものだ、という考えです。
他には、減価償却費は費用計上してもお金は出ていかないので、償却費に見合う金額を積み立てておいて、次回の買い替えに充てる、という考えです。
また、固定資産を導入する際に銀行から融資を受ける場合も多いです。そのため、減価償却費と同等の金額を返済に充てる、という考えです。
2つめと3つめの考えは、資産の導入を自己資金で賄うか借り入れた資金で賄うかによって生じる違いであって、どちらもキャッシュフローの観点から述べているものです。

 

 

減価償却費は毎月計上していく

 

さて、減価償却費の意味が分かったところで(分かっていただけましたか?)、これをどのように処理していくかということが問題になります。

 

減価償却費の処理は決算の時に行えばよいことになっています。
ですが、月次決算を行って毎月きちんと業績管理をするためには、それではダメなのです。

 

減価償却費は場合によってかなりの額を計上する費用です。年商数億円の企業でも数百万円から数千万円に上ることがあり得ます。
そのような費用を無視しておいて、決算の時に一括計上するとどうなるでしょうか?
毎月試算表を見て「今期は狙った通りの利益が出ているなぁ」と思っていたのに、決算書を作ってみたら赤字だった、ということが起こるのです。

 

そのようなことを避けるためにも、一年間の減価償却費を12で割って、毎月計上していくべきなのです。
年度初めに税理士さんに確認すれば、今期の減価償却費用はいくらなのか教えてくれますので、毎月計上していくようにしてください。

 

その他に、賞与など特定の月にまとめて費用が発生するような科目については、あらかじめ引当金として費用計上しておくといいです。
毎月一定額を引当金繰入として費用計上し、実際に支払う時には引当金を取り崩すという処理をすることで、毎月の経費が安定します。

 

 

以上、月次決算について3回に分けて説明してきました。
いろんなことを述べてきましたが、大事なことは「月に1回は会社全体の業績を確認しよう」ということです。
その上で重要な要素は「ある程度の精度を確保する」ことと「スピードを追求する」ということになります。

 

ここまでのことを踏まえて、あなたの会社でも月次決算をしてみてください。
もし、今までやっていなかったのであれば効果は絶大です。
何となく流れて行っていたものが見えるようになります。

 

月次決算のことならアセントリード株式会社へご相談ください

 

- 大村剛史

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