「支払利息の急増」に立ち向かう財務戦略
投稿日:2026.03.28
もう1年以上前からになりますが「金利上昇」という言葉が一時期かなり話題になっていました。
つい先日、あるクライアントさんで決算確定前の12ヶ月分の試算表が揃った際、社長と一緒に数字を確認しながら、思わず二人で顔を見合わせてしまいました。
「支払利息、今までと比べても段違いに増えていますね……」
毎月予実績の確認をしているので増えていることは理解していましたが、改めて12ヶ月の数字を見ると、これまでの「当たり前」が通用しなくなった現実を思い知らされました。
わずか「1%」の重み
金利の上昇は、特に借入残高が多い中小企業にとって、想像以上に厳しい「逆風」となります。
財務指標の一つに「売上高支払利息率(売上高に対する支払利息の比率)」というものがあります。
中小企業は、売上高営業利益率(売上高に対する営業利益の比率)が全産業平均で3.3%(※中小企業実態基本調査令和6年度確報より)、会社によっては赤字という状況で必死に舵取りをされています。
そんな中で、この指標が1%を超えてくるとどうなるか。
「たった1%」と思うかもしれませんが、営業利益率2%の会社なら、「苦労して稼いだ利益の半分が、利息として消えていく」ことを意味します。
これまで以上に「利益が出にくい構造」へと変化しているということなんです。
「借りて投資」と「手持ちを活かす」
社長との話は、「今の借入水準はどう考えても多すぎる。一日でも早く返済を進められる体質になろう」という結論に至りました。
これまでは低金利でしたので、借入をして投資を行うことも比較的進めやすい時代でした。
しかし、これからは戦略を考える必要があります。
投資をするにしても借入金利以上の利益が見込めなければリスクを取ってまで投資をする意味がありません。
投資対効果の検討がより重要性を増します。
そしてもう一つは「今ある資産を、どれだけ効率よく売上に、さらに現預金に転換できるか」という視点です。
- 倉庫に眠っている、現金化されていない在庫はないか?
- 回収が数日遅れている、あるいは滞っている売掛金はないか?
- 所有している設備や資産は、金利負担を上回る利益を生んでいるか?
資金調達や投資に対してこれまで以上にシビアな判断をし、まずは「筋肉質な財務体質」を作ること。
地味かもしれませんが、この「資産の効率化」こそが、金利上昇に負けない最強の防御策となります。
財務の見方も、これまでは損益計算書で利益だけ見ていればまずまずやっていけたかもしれませんが、これから(既にかなり前からですが)は貸借対照表もしっかり見る、両方を掛け合わせて見ることが必要です。
経営改善の「スピード」が、会社の寿命を決める
「少しでも早く業績を上げて利益体質にする。そして、借入の返済を一日でも早く進めていこう」
社長と話し合ったこの方針は、今のすべての中小企業に共通する課題です。
15年以上この仕事をしてきて痛感しているのは、「有事(実際に経営に支障が生じる状態)」に気付いてから動き出すのでは、遅すぎるということです。
「利息が去年より増えたな」とか「利益が出にくくなったな」と感じた瞬間は、まだ「経営に支障が生じるおそれ」の段階かもしれません。
しかし、その時こそが実は改善のチャンスです。
この段階なら、まだ選べる道が残っていますし、色んな手を打つことができます。
先日のコラムで書いたように国の補助金(早期経営改善計画策定支援事業など)を活用して、専門家と一緒に「未来の羅針盤」を作り直すことも可能です。
数字の先にある「安心」を創るために
金利上昇は、間違いなく経営のハードルを上げます。
しかし、帆の向きを変えれば、逆風の中でも船は進むことができます。
「数字を見る」ということは、決して自分を追い込むための作業ではありません。
むしろ、少し先を明るくして、安心してハンドルを握るための準備だと考えてください。
「うちの利息率は大丈夫だろうか?」
「借入を減らすために、まず何をすればいいのか?」
というような不安がよぎったら、ぜひお問い合わせください。



