コラム

損益分岐点

損益分岐点売上高という言葉を聞かれたことがあるでしょうか?

これは、利益が0になる売上高という意味です。

漢字ばかりでとっつきにくそうですが、知ってしまえば驚くほど簡単。

そのくせ、管理会計の世界では基本中の基本で数多くの理論がこれを元に成り立っているといっても過言ではありません。

今日はまじめに、損益分岐点の考え方と注意点についてお話ししようと思います。

 

 

損益分岐点は費用を変動費と固定費に分けることから

 

企業の利益はどうやって計算するでしょうか?

ごく簡単に表すと、

収益-費用

となります。

損益分岐点売上高を求めるためには、この式の「費用」を「変動費」と「固定費」に分けます。

何に対して「変動」・「固定」なのかというと、売上高に対してです。

売上高が増減すると、それに比例して変動する費用を「変動費」といいます。

例えば、通信販売をしている企業では、売上が伸びると商品を発送するための運賃も増えますので、運賃は変動費になります。

売上高が増減しても、その影響を受けない費用を「固定費」といいます。

例えば、水道光熱費や事務所の家賃は、売上が伸びたからといってそれに比例して増加することはありませんので、固定費になります。

 

というわけで、こんな形になります。

 

売上高  1,000,000円

変動費   600,000円(変動費率60%)

限界利益  400,000円(限界利益率40%)

固定費   300,000円

経常利益  100,000円

 

限界利益というのは、売上高から変動費を差し引いた利益です。

変動費が売上高に比例して増加するのですから、限界利益も売上高に比例して増加することになります。

ということですので、変動費・限界利益は「率」が重要になります。

一方、固定費は売上高の増減とは切り離されているので、率は関係なく、「額」で見ます。

 

損益分岐点売上高は、経常利益が0になる売上高です。

上図の売上高をxとすると、

x×40%-300,000=0

0.4x=300,000

x=300,000/0.4

ということで、以下の式になります。

損益分岐点売上高=固定費/限界利益率

ややこしい書き方をすると、以下のようになります。

損益分岐点売上高=固定費/(1-(変動費/売上高))

 

別にこの式を覚えなくても、上の図に数字を当てはめて売上高をxにしてみれば答えが出ます。

 

 

未来志向の損益分岐点分析は管理会計の入り口

 

企業の利益状況を見るのには損益計算書があるのに、なぜこのような考え方が必要なのでしょうか?

答えは、未来志向です。

 

損益計算書は、あくまでも過去の実績を纏めたもの。

過去の分析から問題点を抽出することはできますが、未来に向けた予測数値は提供してくれません。

損益分岐点の考え方は、いくらの売上が必要だ!というように未来に向けた目標達成のための検討材料を提供してくれます。

 

 

損益分岐点を活用する際の注意点

 

最後に、損益分岐点を活用する際の注意点を挙げておきます。

 

1.目標売上高を達成するために、値引き販売をすると損益分岐点売上高は上昇する

ということは、利益目標達成が難しくなるということです。

値引き販売 = 売上原価率の上昇 = 変動費率の上昇 = 限界利益率の低下となるので、当初の損益分岐点売上高よりも必要売上高が増加してしまいます。

 

2.固定費のコントロールを怠ると損益分岐点売上高を計算した意味がなくなる

固定費は売上高に比例しない費用ですが、だからといって今後も完全固定の一定額が続くわけではありません。

計算の元になっている固定費の金額は「過去の実績額」を当てはめているだけなのです。

固定費は常にコントロールしていなければなりません。

もう少し言えば、売上高が伸びてきたからといって経費コントロールの手綱を緩めると利益が出ないどころか赤字に転落する可能性も十分あるという危機感を持ち続けてください。

 

 

損益分岐点を活用した業績向上を目指したい方はアセントリード株式会社へご相談ください

 

- 大村剛史

このサイトを広める

不明点や不安点などは、
お気軽にお問い合わせください。

このサイトを広める