最近、クライアントの社長様とお話ししていると、
このような切実ともいえる悩みを伺う機会が本当に増えました。
「給与を上げたいけれど、これ以上人件費が増えると会社の利益が残らない……」
「求人を出しても全く応募が来ない」
あなたの会社ではどうでしょうか?
物価高騰や慢性的な人手不足が続くなか、賃上げの波が押し寄せています。
自社も対応しなければ採用や定着が難しい、と感じている経営者の方は多いと思います。
さらに毎年10月には最低賃金の引き上げがあり、近年はなかなかの引き上げ率です。
地味にこの影響を受けている企業も多いでしょう。
今回は、この「中小企業の人件費高騰」という大きな課題に対し、
精神論ではなく「財務の視点」からどのように立ち向かうべきか、、、
少し真面目に考えてみたいと思います。
なぜ「売上が上がっても人件費高騰で苦しい」のか?
人件費の上昇に頭を悩ませる背景には、単に「出ていくお金が増えた」ということ以上に、
「粗利と人件費のバランス崩れ」があります。
財務の現場ではよく「労働分配率」という言葉を使います。
簡単に言えば「会社が稼ぎ出した粗利(売上総利益)のうち、どれくらいを社員の人件費に還元しているか」を示す割合のことです。
売上がそこそこ伸びていても、原材料費の値上がりや値引きによって粗利が削られていれば、
上がった人件費を吸収しきれません。
その結果、営業利益が一気に圧迫されることになり、
「売上が伸びて忙しいのに手元にお金が残らない」という状態に陥ってしまいます。
どうでしょうか?
あなたの会社は大丈夫でしょうか?
中小企業が人件費高騰を乗り切るための「財務対策」3つのアプローチ
この状態に対抗するには、どうすればよいのか?
悩ましいところですが、財務の観点からできるアプローチを3つ整理してみます。
1. 「粗利(売上総利益)」の確保に徹底的にこだわる
人件費を支える原資は、売上ではなく「粗利」です。
人件費が10%上がるのであれば、それをカバーできるだけの粗利をどう生み出すかを考えます。
安易な値引きをやめて「適正価格」への見直し交渉を行うこと、
不採算な取引や商品を見直すことが、結果として社員の給与を守る一番の近道になります。
2. 「労働分配率」の適正ラインを自社で把握する
自社の労働分配率が現在何%なのか、過去の決算書や試算表から計算してみてください。
一般的に中小企業では50%〜60%前後が目安とされますが、業界やビジネスモデルによって適正値は異なります。
「自社にとって利益を確保しつつ社員に還元できる健全なライン」はどの程度なのかを把握しておくと、
昇給や採用を判断する時にピシッと答えを導き出すことができます。
3. 資金繰り表で「数ヶ月先の人件費インパクト」を可視化する
給料の引き上げや人員追加は、一度実行すると簡単には下げられません。
固定費の中でも見直し困難な費用増加になります。
「賃上げをした場合、半年後・1年後の現預金残高はどう推移するのか?」を
資金繰り表の上で事前に「必ず」シミュレーションしておきましょう。
先々のキャッシュの動きが数値で見えていれば、根拠を持った意思決定ができますし、
経営者にとって精神的な安心感にも繋がります。
人件費は単なる「コスト」ではなく「未来への投資」
人件費を削ることばかりに意識が向いてしまうと、社内の雰囲気は暗くなり、
優秀な社員から離職していくリスクが高まります。
人件費を単なる「コスト」と捉えると会社は衰退に向かいます。
人件費は「社員が安心して力を発揮し、さらに大きな付加価値を生み出すための投資」だと捉えるべきです。
そのためには、経営者自身が自社の数字を正しく把握し、
将来に向けた明確な資金計画を描いておく必要があります。
人件費高騰という課題は、一見すると大きなリスクに見えますが、
見方を変えれば「自社のビジネスモデルや価格設定、財務構造を見直す絶好の機会」でもあります。
というわけで、まずは自社の数字をじっくり眺めることからはじめてみてください。
数字を味方につけて、強い会社をつくっていきましょう。
「自社の労働分配率は適正なのだろうか?」
「賃上げをしたいけれど、資金繰りにどんな影響が出るか不安だ」
もしそのようにお感じでしたら、アセントリードにご相談ください。
現状の数字をわかりやすく整理し、貴社が自信を持って未来へ進めるよう、サポートいたします。
− 大村剛史



