こんにちは。コンサルタントの松本です。
「売上の入金、仕入れの支払い、借入の返済と、口座は用途ごとに使い分けている」
「月末になると、口座から口座へのお金の移動に追われる」
心当たりのある経営者の方は多いのではないでしょうか。
口座を使い分けること自体は、悪いことではありません。
ですが、通帳(口座)の数が増えるほど、会社全体のお金の流れは見えにくくなります。
今日は、通帳を整理し、1つの資金繰り表で全体を見る体制の大切さを解説します。
本業は黒字なのに、預金が減り続けていた会社の事例もご紹介します。
通帳が増えるほど、お金の流れは見えなくなる
売上の入金はA銀行、カード売上の入金はB銀行、仕入れの支払いはC銀行、給与の振込はD銀行、借入の返済はE銀行とF銀行。
このように口座が散らばると、次のようなことが起こります。
・会社全体で今いくらあるのか、すぐに答えられない
・どの口座が、いつ足りなくなるのか分からない
・口座間の資金移動を忘れ、引落しの日に残高が不足する
特に怖いのは3つ目です。
会社全体ではお金があっても、1つの口座で引落しができなければ、取引先や金融機関からの信用を落としてしまいます。
まずは、通帳を3つに整理する
最初にやるべきことは、口座の数を絞ることです。
目安は、3つ以内です。それぞれの役割は、次のように分けます。
・入金用の口座:売上やカード売上の入金を、すべてここに集める
・支払い用の口座:仕入れ、経費、給与の支払いをここから行う
・返済用の口座:借入の返済の引落しを、ここにまとめる
入金用の口座から、支払い用と返済用の口座へは、月に1〜2回、決まった日にまとめてお金を移します。
移す日を決めておけば、移し忘れて引落しの日に残高が足りなくなる、ということも防げます。
口座が少なければ、口座間のお金の移動そのものが減ります。
どこで何が出入りするのかも、一目で分かるようになります。
使っていない口座は、整理してまとめます。
ただし、借入のある銀行の口座は、返済のために残さなければならない場合もあります。
その場合も、日々のお金の出入りは3つ以内の口座に集め、残りの口座はなるべく動かさないようにします。
どの口座が何のためにあるのかは、社長の頭の中だけにしまっておかず、社内で説明できるようにしておくことも大切です。
関連記事:会社のお金の流れを誰が説明できますか?
1つの資金繰り表で、全体の流れを見る
口座を整理したら、すべての口座と手元の現金を、1つの資金繰り表にまとめます。
日ごとの資金繰り表(日繰り表)にすると、お金が出ていく日や、支払いが重なる時期が見えてきます。
月末の残高だけでは分からない、「月の途中で一番お金が少なくなる日」も分かります。
その日を基準に、支払いの時期をずらしたり、早めに銀行へ相談したりと、先回りして手を打てるようになります。
早めに手を打つことの大切さは、こちらの記事でもお伝えしています。
関連記事:資金繰り不安への最も有効な対処法
この表は、できれば社長自身が入力してください。
自分の手で入力すると、お金の動きが感覚で分かるようになります。
まずは、会社のお金の動きを1枚の表にまとめてみませんか?
弊社では、資金繰り表のExcelファイルを、無料で差し上げています。
事例:本業は黒字なのに、預金が減り続けていた会社
私が担当したあるクライアントには、複数の口座と手元の現金がありました。
本業の収支は黒字でしたが、預金は減り続けていました。
全部を1つの表にまとめると、残高を押し下げていた原因が見えてきました。
借入の返済、社長個人の生活費として引き出していたお金、そして通帳を通らない現金での支払いです。
通帳を1冊ずつ見ていたのでは、気づけなかったことです。
特に、社長個人の生活費として引き出したお金は、決算書では「役員貸付金」となり、金融機関からの評価を下げる原因にもなります。
利益が出ているのに手元のお金が減ることは、売上が伸びている時期にも起こります。
関連記事:事業拡大期に潜む資金繰りの罠
今日からできること
まずは、すべての通帳と手元の現金の記録を、机の上に並べてみてください。
そして、口座ごとに「何のための口座か」を書き出します。
そのうえで、入金用・支払い用・返済用の3つにまとめるとしたら、どの口座を残すかを決めてみてください。
「口座が多すぎて、どこから手をつければよいか分からない」
「資金繰り表を作っても、続けられるか不安だ」
もしそのようにお感じでしたら、ぜひ一度ご相談ください。
金融機関の視点と、経営の伴走者としての視点。その両方から、私たちは全力でサポートいたします。
一緒に、会社の未来を考えていきましょう。
- 松本 宰
【筆者紹介】
松本 宰(アセントリード株式会社 財務コンサルタント)
奈良県出身。大学卒業後、地元の金融機関に入り、営業職として預金や融資の提案を担当。若手ながら100件以上の融資案件に関わり、年間の融資契約件数で上位5位に入る。一方で、返済に苦しむ企業を銀行員の立場では根本から支えきれないことに悩み、数字に基づく伴走支援に専念するため、アセントリードに入社。金融機関の実務で培った資金調達の視点を生かし、中小企業の財務改善・資金繰りの支援に取り組んでいる。
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