こんにちは。コンサルタントの松本です。
経営者の皆様とお話ししていると、融資の話の中で必ずといっていいほど出てくるのが「個人保証」の話です。
「借りる以上、個人保証は付くものだ」
「家族に迷惑をかけたくないが、仕方がない」
そのように考えて、諦めている方は多いのではないでしょうか。
今日は、個人保証について解説します。
「個人保証は仕方ない」は、本当でしょうか?
個人保証とは、会社が返済できなくなった時に、社長個人が代わりに返済する約束のことです。
会社の借入なのに、社長個人の財産やご家族の生活まで影響を受ける可能性があるため、不安を感じるのは当然です。
ただ、結論からお伝えすると、個人保証は必ず付けなければならないものではありません。
一定の条件を満たせば、保証なしで融資を受けられる道があります。
銀行は、なぜ個人保証を求めるのでしょうか?
金融機関が個人保証を求める主な理由は、2つあります。
- ・会社と社長の財布が、実質的に一体に見えること
・会社の信用力を補いたいこと
イメージとしては、賃貸の部屋を借りる時の「連帯保証人」に近いものです。
貸す側は、「いざという時に、誰が責任を取ってくれるのか」を確認しておきたいのです。
「保証を外す」という選択肢を、知っていますか?
私が金融機関に勤めていた頃、このような企業を担当していました。
その会社は、複数の金融機関と長年取引があり、安定した関係を続けていました。
私の勤務先はメインバンクではなく、少額の融資取引があるだけでした。
代表者は高齢で、もともと口数が少なく、事業への考えや今後の展望について本音で話してもらうまでには、時間がかかりました。
ある時、事業のための借入が必要な状況になりましたが、代表者は保証人になることを、強く嫌がっていました。
理由は、「自分に何かあった時、事業に関わっていない親族に返済の義務が及んでしまうかもしれない」という不安でした。
そこで私が提案したのが、「事業者選択型経営者保証非提供制度」です。
信用保証協会の制度で、一定の要件を満たしたうえで、保証料の上乗せを負担することで、経営者の個人保証を付けないことを選べます。
実際に申込みを行い、大きな金額の融資を受けることができました。
社長にとっては、融資を受けること以上に、「家族に返済の義務が及ぶ心配が減ったこと」が大きな安心だったでしょう。
銀行は、どこを見て「保証なし」を判断するのでしょうか?
この制度の主な要件は、次のとおりです。
- ・過去2年間、決算書などを金融機関の求めに応じて提出していること
・直近の決算で、代表者への貸付金などがなく、代表者への役員報酬や配当なども常識的な範囲に収まっていること
・直近の決算で債務超過ではない、または直近2期の決算で減価償却前経常利益が連続して赤字ではないこと
・上の2つの状態を、今後も続けることを約束する書面を提出すること
簡単に言えば、次の3つの質問に答えられるかどうかです。
- ・会社と社長のお金は、きちんと分かれていますか?
・財務は、安定していますか?
・数字を隠さず、見せていますか?
この制度を使うと、通常の保証料に上乗せ分がかかります。
- ・「債務超過でない」と「2期連続の赤字でない」の両方を満たす場合は、0.25%
・どちらか一方だけの場合は、0.45%
元になる保証料率は、信用保証協会が会社ごとに決めます。
保証を外す安心を得るための費用、という位置づけです。
なお、要件を満たしていれば必ず保証を外せるというわけではなく、最終的には金融機関と信用保証協会の審査で決まります。
私の経験上、保証協会の制度を使った保証の解除は、要件を満たしていれば比較的進めやすいです。
一方で、保証協会を付けない「プロパー融資」で保証なしを認めてもらうのは、今でもハードルが高いのが実情です。
だからこそ、まずは保証協会の制度を知っておくことが大切です。
今日からできる、「保証なし」に近づく準備
難しいことは必要ありません。
次の3つから始めてください。
- ・会社と個人のお金のやり取りを整理する(代表者への貸付金や、仮払金・未収入金、役員報酬の水準など)
・決算書や試算表を、銀行へ自分から出す
・担当者に、「保証を外せる制度はありませんか?」と聞いてみる
最初は、「聞いてみる」だけで十分です。
聞かなければ、制度があることすら知らないまま、保証が付き続けてしまうことがあるからです。
個人保証の不安を、一人で抱えていませんか?
個人保証は、社長ご自身だけでなく、ご家族の安心にも関わる大切な問題です。
それなのに、「どうせ外せないから」と、誰にも相談できずにいる方も多いのではないでしょうか。
「今の自社が、保証を外せる条件に合っているのか知りたい」
「銀行に、どう切り出せばよいか分からない」
もしそのようにお感じでしたら、ぜひ一度ご相談ください。
金融機関の視点と、経営の伴走者としての視点。その両方から、私たちは全力でサポートいたします。
一緒に、会社の未来を考えていきましょう。



